●新型コロナウイルス感染症のワクチン接種について要望

新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が本格的にスタートすることを受け、全国手をつなぐ育成会連合会では知的障害者に関係する事項について厚生労働省に要望書を提出しました。主に、重症化リスクのある基礎疾患を有する人などへの確実な優先接種、障害福祉サービス事業所などにおける集団接種の実施、接種に関する本人意思確認の支援について対応を求める内容となっています。

1 重症化リスクのある基礎疾患を有する人などへの確実な優先接種
 知的障害は、当然ながら一定数は重症化リスクのある基礎疾患を有する人もいますし、重度重複障害児者についてはそもそも基礎体力が十分でなく、感染症全般に大きなリスクを有しているといえます。こうした重症化リスクのある基礎疾患を有する人などへの確実な優先接種を地方自治体へ改めて通達してください。
 また、重度知的障害児者の中には、接種後の副反応について自ら異常を訴えることができない人も多くいます。そのため、身近なかかりつけ医にも、副反応等の情報を的確に情報提供していただくよう、お願い申し上げます。

2 障害福祉サービス事業所などにおける集団接種の実施
 貴省のホームページによると、ワクチン接種には大きく地方自治体の指定する会場での集団接種、指定医療機関での個別接種が例示されています。しかし、知的障害や発達障害(自閉症圏)の人がスムーズに接種するためには、慣れた施設や医療機関での対応が重要と考えます。接種場所については柔軟に対応するよう、地方自治体へ通知してください。また、障害福祉サービス事業所や障害者支援施設単位で接種可能とする場合には、当該事業所等利用者のうち、接種順位が最も高い人へタイミングを合わせていただきますよう、あわせて通知してください。

3 接種に関する本人意思確認の支援
 知的障害児者にとっては、新型コロナそのものがどういった感染症であるか理解しにくいことに加え、ワクチンの接種にはどのような効果と副反応が想定されるのかなど、ワクチン接種に関する分かりにくさも想定されます。さらに、ワクチン接種を希望するか否かについて、本人の意向を確認するための支援が必要な人が多いことにも十分留意する必要があります。
 本人の意思に基づき接種の是非について判断することが重要であることを踏まえて、次の2点について早急な対応をお願いいたします

(1)ワクチンの接種による効果と副反応(特に重篤な副反応が起こりやすい状況、てんかん発作との関係性、アレルギーの有無など)、期間をあけて2回接種する必要性などを、知的障害児者に分かりやすく情報提供するリーフレットなどを作成し、広く周知してください。知的障害児者だけでなく、子どもや国外にルーツを持つ人たちへの情報提供としても有効と考えます。

(2)分かりやすい情報提供を基礎として、障害福祉サービス事業所等において浸透しつつある意思決定支援の取組みを最大限に活用し、ワクチン接種の希望については可能な限り丁寧に本人の意思を確認する取組みを徹底してください。

以上



要望書原文については、以下の全国手をつなぐ育成会連合会のホームページを参照して下さい。

http://zen-iku.jp/info/4183.html


 

 

 

 

2021年03月09日