会長挨拶

新型コロナウイルス感染について世界保健機関(WHO)は世界的な大流行を意味する「パンデミック」を表明しました。こういった時の企業のリスク管理として、BCP(Business Continuity Plan)があります。大災害などの緊急事態が発生したときに、企業が損害を最小限に抑え、事業の継続や復旧を図るための計画のことです。国内ではまだBCPを策定している企業の割合は40数パーセントということですが、このBCPについては、是非、社会福祉法人・障がい福祉事業所についても策定すべきであると考えます。感染症の流行や自然災害などから利用者及び支援員さんの命と生活を守り、そして事業を継続していくためには、なくてはならないものだと思います。

 また、平成25年6月に改正された災害対策基本法では、災害に備え、市町村長に対して、避難行動要支援者名簿の作成が義務付けられました。そして、令和元年の台風19号の甚大な災害状況を踏まえ、災害時の避難支援等を実効性のあるものとするためには個別避難計画の作成が有効とされたことから、令和3年の災害対策基本法の改正により、避難行動要支援者について、個別避難計画を作成することが市町村の努力義務とされました。避難行動要支援者名簿の作成は、ほぼ100%近くの自治体で完了しており、その内、個別計画作成まで完了しているのが15%弱であるそうです。第七次千葉県障害者計画の数値目標において『避難行動要支援者名簿に基づく個別計画策定市町村数』については、着手した市町村数でしか見ておらず、名簿に記載されたトータル人数を母数として見るべきであり、個別計画策定についての意識レベルの低さが覗われます。災害が起きてから要支援者をどのように避難させるかを考えるのでは、名簿を作成した意味がありません。

 障がい者が地域で安心して暮らしていける共生社会を目指すには、『社会福祉法人・障がい福祉事業所のBCP作成』と『避難行動要支援者名簿に基づく個別計画策定』が不可欠であると考えます。また、『避難行動要支援者名簿』が市内の各自治会・町内会レベルまで届いていないのが実状で、『個別計画』が策定されていてもわずかだと思われます。障がい者が、通所・入所先でも、また自宅にいる時でも、安全に安心して暮らせるように、これからの関連機関・担当セクションでの取り組みに期待致します。

 さて、佐倉市においては、2020年度(令和2年度)から第5次佐倉市総合計画が始まりました。また、それを上部計画とする、2021年度(令和3年度)からの佐倉市障害者計画及び佐倉市障害福祉計画について、その実行状況等注目し確認していかなければなりません。特に、障害福祉計画にて整備される『地域生活支援拠点』については、ただ建物を設置するだけでなく、そこに求められている5つの機能、1.土日祭日にかかわらず24時間の相談支援体制、2.家族の緊急時に何とかしてくれる受け入れ・対応機能、3.例えば、家庭から社会に出る時のグループホームの体験利用ができる独立支援機能、4.行動障害や医療的ケアを必要とする人への支援ができる専門的人材の確保・養成機能、5.例えば1人暮らしの知的障がい者の地域における緩やかな見守りを、自治会や民生委員などの地域住民と協力して構築していく地域の体制作り機能など、継続してそれらの点に着目し、障がい者に対してより充実したものになるようにしていかなければならないと考えております。

 佐倉市手をつなぐ育成会においては、障がいのある人もない人も共生できる地域社会の構築を目指し、これからも諸先輩方が積み上げてきたものを守りつつ、今の会員のニーズに合ったものへと変化していかなければなりません。そのため4部会・3委員会なるものを設置し、理事の担務を明確なものとし、効率の良い活動を目指していきたいと考えています。4部会には、総務会計、ニュージュニア、CFC、広報部会があり、特にニュージュニア部会は『ニュージュニア層活動強化』を担い、学齢期の会員を中心とした活動を展開し、将来の育成会を盤石なものとすることを目的としています。広報部会については、今までよりももっと SNS を活用し、速くて正確な情報発信を目指していきます。3委員会とは生活支援委員会、権利擁護委員会、就労支援委員会であります。(療育・教育についてはニュージュニア部会が担当する)これら委員会は、佐倉市障害者総合支援協議会に参加するだけでなく、むしろ会員に向けてそれらのニーズを掘り起こすことを目的としています。会員の意見・要望を把握して佐倉市の福祉の社会資源に反映していくことが重要だと考えます。

 皆さんご存知の通り平成30年に当会は創立50周年を迎えることができました。この半世紀ものあいだ先輩諸氏によって築き上げられてきた佐倉市手をつなぐ育成会を、これからも発展させていくために努力を惜しまず努めていきたいと思っております。
皆さまのご協力もどうぞよろしくお願い致します。

佐倉市手をつなぐ育成会会長 黒田聡